塗装と塗料について考える 2023
「政治家は何を言ったかではなく、何をしたかで評価されるべき」
とはNHK党の立花氏がよく言う言葉ですが、企業もそうだと思います。
普段SNSに上げている内容はまさしく「何をしたか」の部分にあたりますが、ただ、それを実行するまでにはいくつもの思考と時間が費やされていて、例えば1を実行するまでに10~100の思考があるものです。
今日はその思考の部分についてのお話。
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最近私自身で屋根塗装を行っている現場があるのですが、その塗料の選定にあたって一から基礎を学び直しているところです。
メーカーのカタログに従って選べばまず間違いはなくて、そのメーカーの中で価格の高いものを選べばまず間違いない程度の性能は得られます。
でもそれでは何も理解したことにならないのできちんと基礎を学びたいわけです。
ということで今回は塗料と塗装の話を。
ネットやYoutubeでよく見る「油性か水性か」みたいな薄っぺらい話はしませんから、いつも通りの技術的な話をご期待ください。
【屋根塗装(塗料)の話】
当社の仕事内容では塗装の相手は概ね木か鉄(ガルバリウム)なのですが、まずは屋根塗装の話から。
まず、ガルバリウム鋼板と鉄は違います。大きな違いは、ガルバリウムにはアルミニウムが含まれているということ。
アルミやステンレスっていうのは塗装が乗りづらい金属の代表格です。
なので下塗り(プライマー)が非常に大事で、付着力も去ることながら錆止めの役割も重要なので、金属屋根の場合は上塗り塗料よりもこっちにコストを掛けるべきだと思います。
ということで、現在屋根塗装をしている現場ではプライマーを2回重ねて塗っています。
見ての通り、濃いところが2回目を塗った後。
カラーベストに比べて吸い込みの少ない鋼板屋根でもやはりムラはできますので、2回塗った方が当然塗膜が厚くなるので私は2回塗りします。
2液型の強力なプライマーを1回塗るのと、1液型の安価なプライマーを2回塗るのとではどちらが性能いいんだろうね。
私はなんとなく後者な気がするけど…
メーカーの方(営業マンではなくて技術担当)とお話して勉強したい…。
ちなみに私のお気に入りの塗料メーカーは菊水化学工業と水谷ペイント。技術的なこだわりを感じるからです。
ニッペとカンペとSK化研といった有名所はなんとなく除外。天邪鬼だから。
【木部塗装(塗料)の話】
現在新築工事中の物件で、土台に防腐防蟻剤を塗装しました。
この塗料を買う時、とても大きな疑問が浮かびました。
塗料の説明に、「防腐・防蟻・防カビ」と書いてあるのですが、これってどの外部用木部塗料でも概ね同じなんです。
じゃぁコレじゃなくても普段使ってる木部用塗料でもよかった?
そう思って、防腐防蟻剤で有名な吉田製油所さんのホームページを見て勉強。
しかし、どれも防腐と防蟻という効果は一緒。
家の美観という意味で着色性の有無の必要性はあると思うけど、今回は性能の話なので一旦置いておく。
いや、そもそも木の劣化とは何を指して考えるべきか?
それを考えていったらだんだん答えが見えてきた。
木の劣化症状① : 腐朽菌による腐れ
木の劣化症状② : 白アリによる食害
木の劣化症状③ : 紫外線による分解
①の腐朽菌対策については、皆共通。どれも適合。
②の白アリ対策については、『防ぐ』という意味ではどれも適合。でも『駆除』という意味では白アリシリーズの商品を使う必要がある。
③の紫外線対策については、アクリル樹脂や紫外線防止剤等の配合による対策が必要。
木の劣化は、日の当たらない場所では主に腐れや白アリによる被害が支配的。
でも日の当たる場所ではそれに加えて太陽光(紫外線)からの影響も対策しなければならない。
上の吉田製油所の商品ラインナップのうち、木材保護塗料だけは他社の木部塗料と同じようにアクリル樹脂による顔料で着色性をもたせてる。
一方で木材防腐剤(クレオトップ)にもアクリル樹脂は配合されているけど色のラインナップは無いに等しく、おそらく樹脂の配合割合も少なくしてあって薬剤効果の方に重点を置いているのではないかな。その分安いし。
ということで。
もっとも理想的な塗装とは何かを考えた時、
1.内部的には防腐防蟻剤を染み込ませて対策をし、
2.外部的には紫外線対策がしっかりされた塗料で塗膜を張る
といった2段構成に思い至った。
ちなみにChatGPTにも今回の疑問を質問して意見を求めてみましたが、同じ様な結論を頂きました。
ところで有害さと臭いを我慢すればクレオソート油が腐りにくさではコスパ最高だと思ってて個人的な用途ではよく使うんだけど、こいつは紫外線にも十分耐えてくれんのか?
研究論文見つけた。
けど、JISの定める促進耐候性試験(サンシャインウェザーメーター)ではないから、いまいち結果がよくわからないな。
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