MOKIストーブの改造(?)を試みる その3
今回のブログは本来の予告通りならオリジナル薪ストーブの話になるはずだったのですが、その前に素晴らしい出来事があったのでこちらを先に報告です。
要点をかいつままないでぐだぐだと書いていきます。
私が住む岩手県の盛岡は、昨日の最低気温が-6.1℃、最高気温ですら-2.7℃という厳しい冷え込みでした。
なので、昨日の朝はMOKIをがっつり焚いてやろうと思い準備をしました。
焚き付けを組んで火を点けて眺めていたら、ふと、「…給気口を下半分塞いでみようか?」となぜか思い立ち、試しにれんがで塞いでみました。
↑ちょっと隙間が空いてしまいましたが、レンガで給気口の下半分を塞いでみました
そして扉を閉めると、ビュオーー!と勢いよく吸気音が聞こえます。
・・・・・?
この、「給気口の下半分を塞ぐ」というアレンジは前回のブログでも書いたとおり実験済みでしたが、それは茂木プレートがノーマルの時の話。
今のオリジナルプレートに換えてからは試していませんでしたので、今回は何か違いを感じます。
燃え方が緩くなっている割に、二次燃焼室の炎の色が早くも薄い。
焚き付けに火が回ったあとに細薪をたくさんくべてから、外に出て煙突を見に行ってみました。
まだ温度も上がらない段階での薪の大量投入ですので、普段であれば煙がモクモク見えているはずなのですが・・・
煙が見えない!
まじか!? まだ焚いて10分も経たないのにもう煙が見えなくなる?
そのあと、中薪→太薪と続けてくべるごとに外へ見に行くのですがやはり煙が見えない。
あまりに信じられなくて煙突の向こう側に木がくる角度で見えるまで道路を歩いて見てみましたが(寒い!)、やはり煙が見えない。ゆらゆらと高温の湯気で陽炎が立っているだけ。
すげーー!
そして新しい薪をくべて給気を絞ってみても、なお煙が立たない。
薪ストーブを使っている人なら分かるんですが、普通は新しい薪をくべたら給気を増やすのがセオリーです。
なぜなら炉内の温度が一旦下がるので、給気を増やして炎を上げさせて炉内温度の上昇を図るんです。
それが、給気を絞っても安定して煙を出さずに燃え続けてくれています。
↑これくらいまで絞ってもまだ安定燃焼が続きます。(煙突から煙が見えない)
そして、そして、
すごーーーくゆっくり燃えてくれる!
1時間くらい経っても最初の細薪の熾火がまだ残ってる!
というか熾がいっぱい残る!
それはつまり炉内の温度がずっと高温で維持されるということ。
↑熾火がいっぱい残ってくれるので大きな薪を入れてもゆっくりじっくり燃やせます
ゆっくり燃えるからといって温度が低いかと思えば・・・
いつも通り、ストーブを点け始めてから30分後位に『2L』の水が沸騰する。
ストーブ本体の表面温度もいつも通りに400度以上まで達する。
つまり、、、
普通のモキストーブと温度上昇特性が変わらず、それでいて鋳物並みにゆっくり燃える!
あああああ
なんてすばらしい薪ストーブに化けてくれたんだこいつは!!
* * * * * * * *
原理としてはこういうことなのでしょう。
今までは、給気口から入った空気(酸素)は手前側の薪の燃焼であらかた使い切って二次燃焼室まであまり届いていなかった。
だから給気を絞ると不完全燃焼(煙突から煙が見える)が起きやすかった。
それを、給気口の下半分を塞ぐことで給気経路が上方からのみとなり、二次燃焼室に近いところへダイレクトに酸素が送られることで、少ない炎でも安定して二次燃焼が起こるようになった。(これはオリジナルプレートによる熱エネルギーの集中との合併効果でもある)
また、下方向からのダイレクトな風当たりが絶たれたため直に熾火に風が当たらなくなり、熾火が消耗しなくなった。
* * * * * * * *
前回の記事ではこのオリジナルプレートは費用対効果が少ないのでおすすめしないと書きましたが、今回の給気経路変換アレンジによってプレートの持つ性能を最大限に引き出すことができました。
今回のアレンジで得たメリット
1.ノーマルのモキと同じ温度上昇特性を持つ。(10分で200℃到達、30~40分で400℃到達)
2.外国製鋳物ストーブ並みに低燃費運転でゆっくり燃やせて、初期段階から煙がかなり少ない。
3.熾火が長時間たくさん残って、ストーブの温度がなかなか冷めない。(薄い鋼板製ストーブなのに!)
4.給気が窓面を勢いよく経由するので最後までガラスが曇らない。
プレートの設計にももっと燃焼効率を高める余地は残っていますが、これならお客さんにも自信を持って勧められますね。
鋼板製ストーブの温まり易さ と 鋳物製ストーブの冷め難さ
この相反する性能を兼ね備えた、完璧なストーブになったと言うことができるような・・・
自分の考えているオリジナルの薪ストーブも狙いはまさにここだったので、その理論が前もって実証できたことはよかった。
もっとも、これ以上に熱効率の高い設計で考えてはいるので、紹介できる日が楽しみです♪