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田山祐智

【MOKI】モキストーブの弱点を考察する その2 吸気流速

前回に引き続き、MOKIの給気系統の弱点の考察の続きです。

予告の通り、今回のテーマは「吸気の速度(流速)」です。

前回は吸気の温度でしたが、今回は速度。

吸気の速度が速ければ速いほど、燃焼室はより多くの空気が入っていくことになります。

吸気の速度が速ければ吸気弁を絞っていっても安定して供給されるので、微調整が効きやすくなります。

吸気口の開け具合(開度)は言わば車のアクセル。

低燃費運転をするにはアクセルはできるだけ絞ったほうがいいですよね。

では、速度についてはまず置いておいて、そもそも吸気の強さは何で決まるのか?

それは「排気の圧力」です。

私たちは中学校の理科の授業で『パスカルの原理』を習いました。

容器の形がどうであれ、内部にかかる圧力は一定なのです。

つまり、仮に排気の強さが1Paだとすれば、吸気の強さもまた1Paになるということです。

MOKIストーブは、そのドラフトの強さから、燃焼しているときの排気の圧力はかなり大きいと思われます。

特に針葉樹(油分の多い松など)の細かい薪をたくさん燃やしている時は、給気が追い付かずに息継ぎを起こすことがあります。

その時の様子を動画に撮りましたのでまずはこちらをご覧ください。(字幕をONにして)

どうでしたでしょうか?

これを見て、薪ストーブを使っている人なら普通はこう思います。

「少し扉開けろよ」

はい。

排気の強さに吸気が追い付かないのなら、もっと吸気面積を大きくすれば解消します。

でも、扉を開けている間は煙が収まるものの、中の火が落ち着くまではずっと開け続けていなければなりません。

これでは燃費が極悪です。

これを回避するには、大きい薪や広葉樹の薪を入れてゆっくりめに燃える状況を作ってあげればOKなのですが…

それでいいのかな?

油分の多い針葉樹や竹でもガンガン燃やせるのがMOKIの良いところ。

ガンガン燃やしていたら煙もガンガン発生しました。では困ります。

じゃぁ扉を開けて空気をガンガン送り込んで燃やしていたら、今度はあっという間に燃え尽きて

燃費悪すぎます。

それって結局は針葉樹系とは相性が悪いってことにならない?

長くなってきましたが、ここからは技術的な感じの話に入りますね。

要は、MOKIは排気の勢い(ドラフト)は強いのに、それに見合った吸気口の面積・形状が良くないので給気不足が発生してしまうのです。

一番簡単な解決策は吸気口の面積を大きくすることですが、今の時点でφ100mmもあるのでこれ以上大きくする必要はないと思う。

やはり問題は形状にあると思う。

これでは両側から集まってきた空気同士がぶつかってスムーズに流れていかないでしょう。

この吸気口だけは、検討を重ねた上で到達したシンプルさではなくて、単に何も考えないで穴を空けただけのように見えてしまいます。

では解決策としてどうするべきか…?

私は以下の案を考えました。

1.エアファンネルの取り付け

2.ベンチュリーの取り付け

これは車からの知恵を拝借してきました。

旧い時代の車の燃料供給は、『キャブレター』というアナログな機械で制御されていました。

車いじりの世界ではマフラーを替えて排気を良くするというのが定番メニューですが、それと同時に吸気側=キャブレターの方もバランスを取らなければパワーは上がりません。

解決策

1.エアファンネルの取り付け

ちょっとネットで拾ってきた画像を貼りますね。

何かの車のエンジンルーム内ですが、この横型に2基付いているのがキャブレター。

画像にもある、吸気入口に付いているラッパ状の部品が『ファンネル』と呼ばれるものです。

これは、空気が吸い込まれるときに整流効果を生みだしてスムーズに流れていくようになる効果があります。

これと似たような形のを入口に付ければ吸気が整流されて抵抗なくきれいに流れていくはず・・・

上から見た図

解決策

2.ベンチュリーの取り付け

ベンチュリーってなに?

これまたマニアックなのですが、空気の通り道を狭める(=流れを早くする)ための輪っかです。

こんな感じの物をパイプの内側に付けて、内径を小さくして空気の通り道を狭くします。

水の流れをイメージしてもいのですが、広いところから狭いところへ差し掛かると、水の流れは速くなるはずです。

これを機械的に作って空気の流れを速くするんです。

なぜ流れが速くなるかというと、「狭いところを流れるとき、流体(空気や水)の圧力が下がる」からです。

? ? ?

小難しい話ですね。

ちなみにこれは『ベルヌーイの定理』から導き出される現象らしいんですが、、、

ベルヌーイの定理か…聞いたことあったような…?(汗)

これらを組み合わせた部品を既存の吸気口に溶接して取り付ければ、きっと吸気効率は現在の比では無いくらい良くなって安定する。。。はず。

”エアファンネル + ベンチュリー ” の吸気アダプター

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