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  • 田山祐智

【MOKI】モキストーブの暖かさの仕組みを知る その2:燃焼

前回は本体の構造的な部分の説明でしたが、今回は、よく分かりにくいけどもみんなが気になる「燃え方」の部分に入っていきます。

わたし独自の見解ですので、メーカーや他の薪ストーブ屋さんには書かれていないことばかりになります。

さて、MOKIのストーブはメーカーの謳(うた)い文句を見ればわかる通り、燃焼方式は他のどのストーブにもない独特のもので、触媒も使わないし、二次エアーの吹き付け(クリーンバーン)も行われません。

それなのに、しっかりと二次燃焼を起こして燃焼温度を上げています。

この…

★ 触媒や二次エアーの吹き付けが無いのに二次燃焼を起こせる

MOKIストーブの燃焼で一番の特徴はこれじゃないかと思っています。

薪ストーブ界の常識ではちょっと考えられません。でもしっかりと燃焼後の排気はクリーンになってる…。

そもそも「二次燃焼とは何か」を簡単に説明しますと、

物を燃やす時、ただ火をつけて自然に燃えている状態が一次燃焼です。

焚き始めのときなど、煙突からは煙が上がっているのが見えます。

(ちなみに触媒を付けた薪ストーブもバイパスダンパーを開けているときはこの一次燃焼の状態です)

煙の正体は細かい粒子(PM2.5とか!)ですので、煙が目に見えるということはまだ燃えカスが排気に混じっている証拠です。

そこへ…

煙に熱い空気が触れると、煙とかガスが自然発火してまた燃えだします。

これが二次燃焼です。

再燃焼した煙(粒子)が人の目ではほぼ見えなくなるほどにまでなるときれいに燃えた証と言えます。

だから皆、煙突から出る煙の色を気にするのです。

木が燃えて、その煙(ガス)をまた燃やす…。

より多くの熱を生み出すこの二次燃焼を起こすために、各メーカーは緻密に空気の導入経路を設計して薪ストーブを作っています。(一部安物を除き)

この、二次燃焼を起こすために(薪ストーブ内を通りながら)予熱された空気のことを「二次エアー(二次空気)」と言います。

高温に加熱された二次エアーは炉内へ吹き出され、まだ燃え残っている煙やガスを再燃焼させてさらなる熱を発生させ、排気をクリーンにします。

一方で、MOKIストーブのつくりはどうかというと…

見ての通り、特に二次エアーの導入口はありません。

給気口は正面にある一つだけですので、あらかじめ空気を温める構造にはなっていません。

(個人的にはMOKIのここが気に入らない)

 

さて、ようやく本題。

MOKIの燃焼構造について、模式図で説明していきます。

MOKIストーブの炎の流れを見ると、燃え方はおおむねこんな感じです。

薪が燃えて発生した炎の大半は、茂木プレートの下をくぐって後ろの壁伝いに煙突へ向かいます。

実際に燃焼の状態を観察すると分かりますが、茂木プレートの穴を通り抜ける炎はそんなに期待するほど多くありません。

これだと、なんとなく「普通に燃えた炎がプレートの間を通って煙突へ抜けていく」イメージにしかなりませんが、ここに色々なメカニズムが隠されています。

1.MOKI特有のドラフトの強さ

鋳物ストーブを使っていた人が初めてMOKIを使ったら、きっと焚き付け時のドラフトの強さに驚くはずです。(私がそうだった)

なお、ドラフトとは煙突方向への空気の流れのことです。

ドラフトが強いと給気の勢いが増してどんどん火力が上がっていくので、薪をくべるのが楽になります。

(ちょっと太めの薪を序盤に投入してもそう簡単には途中で火が消えたりしません。)

ですので、薪ストーブにとって初期のドラフトの強さはとても歓迎すべき現象なのです。

しかし一般的な鋳物ストーブの場合は、しばらくの間火を焚き続けて煙道内が温まってこないとなかなかドラフトが強くなりません。

MOKIの場合は、ちょっとしか燃やしてないのに炎が早くも煙突の方へ引き込まれていくようになるのはかなり不思議に感じます。

その秘密が茂木プレート。(たぶん)

炎が煙突へ抜ける際、途中のプレートの間を通りながら2枚のプレートを温めます。

すると、

手前:給気側は冷たい → 奥:茂木プレート側は熱い

ストーブ内にこの環境が生まれます。

冷たい空気は温かい方へ流れる。

 ↓

つまり熱対流が起きます。

熱対流は温度差が大きいほど動きも大きくなるので、煙道よりも早く熱せられる茂木プレートのおかげで初期段階からドラフトを強く起こしてくれるようになります。

これがMOKIの火付けの簡単さにとても貢献しています。

メーカーでは段ボールを適当にちぎって焚き付けの上において着火する方法を推奨していますし、わたしは最近は牛乳パックを細かくちぎったのを何枚か置いているだけですが簡単に着火します。

少なくとも、焚き付け材を大量に積んでガストーチで強引に着火したりするような必要性は全くありませんよ。

Youtube検索結果 「薪ストーブ ガスバーナー 点火」

こんなことしなくても、普通に焚けばすぐ煙が見えなくなって速効で温まるのがMOKIですから。

長くなったので二次燃焼の話までいけませんでした。

次回に続きます。

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